日本産広葉樹は、針葉樹に比べてかなり数が多く名前も一般の人には知られていないものが多い。
9月初旬、美ヶ原、王ガ頭下の間伐実行林へ出掛けた。そこは林齢4・50年生のカラマツの一斉林で、下層には雑潅木が生育しており、その中に以前、見たことのある潅木を発見し標本を採取した。
木は2~3センチと細くて折れそうであるが思いのほか、しなやかで簡単には折れない。一番の特徴は人魂型の長さ3cm程の実が1~3個、太い方で結合していることで、図鑑で検索したところカバノキ科ツノハシバミでその実は稔ると食べられるとのこと。
少年のころ実家近くの山で食べた記憶が蘇ってきた。それから数日して大町市中山(大町スキー場付近)で、尾の部分が無く、ホタルブクロを小さくして緑色のやや筒状に似た果苞で球形の果実を包んだ実を付けるハシバミも見つけた。こちらも食べられるとのことだが、木曽では見た記憶が無い。
杉本順一の「長野県植物総目録」によると前者は県下全体にあるものの南アルプス地方に少ないとの記述があった。
松筑木材協同組合 前専務理事 和木 孝夫